研修修了☆
僕は山梨県に移住してから、県が実施している2年間の農業研修(あぐりゼミナール)を受けていたのですが、その研修を2024年6月いっぱいで終えました。
その翌月7月には独立自営農を開始し、同時に認定新規就農者にもなりました☆
そこで今回は「農業を始めるために研修制度を受けた方がいいのか」という質問に、研修を受けた僕なりの答えを紹介してみることにしました。
おまけとして、田舎に移住したことの感想も書いてみますので、興味があれば ぜひ読んでみてくださいませ*
・ぷち補足
山梨県山梨市にて あぐりゼミナール研修を受けてブドウ農家になった僕の体験談ですので、他作物・他地域、その他の研修制度には当てはまらない点も多々あるかと思います。
正直な感想
早速結論から言ってしまいますと、、、
大規模経営を目標にしているのなら研修を受けた方がいいが、そうでないなら受けなくてもいい
というのが僕の感想です。
理由は「研修を受けなくても、農業を営んで暮らしていくことはできるから」です。
僕の周りには、移住してから研修を受けずに自力で農業を始めた人達が実際にいますし、全体で見れば研修を受けずに農家になった人が ほとんどだからです〜
そこで この記事では、研修を受けなくても問題ないと思う理由を
1:栽培技術に関する話
2:金銭的な話
3:研修期間に関する話
4:研修修了後の話
これら4つの観点から紹介していきます。
補足として「研修を受けた方がいいのは どんな人なのか」と「研修を受けずに就農する方法」もご紹介いたします〜
前提として
誤解のないように一応述べておきますが、、、
研修を受けなくても農業を始めることはできますよ〜というだけで、研修を受けない方がいいという話ではございません。
研修を受けることのメリットは もちろんありますし、僕自身も受けてよかったと思っています(^^)
理由1:栽培技術について
では、まずは栽培技術に関することから〜
これは有名産地で就農、あるいは産地の農園で仕事(アルバイト含む)ができる場合になりますが、、、
産地には その道のプロ、つまり先生が たくさんいるので仲良くなることさえできれば、技術を学ぶ機会をつくることは いくらでもできます☆
(もちろん人間関係を良好にしようという、こちら側の努力や配慮が重要なカギになってくるのですが)
また山梨県ですと、ブドウやモモの栽培マニュアルが作成されていたり、果樹試験場やJA等の専門機関から情報を得ることもできます。
故に、そういった情報をもとに実践をくり返していけば、研修を受けずとも栽培技術を習得することはできると僕は思うんですよね(というか僕の知り合いは そうやって就農してますし)。
ただし、知り合いのいない土地に移り住み、自力で師匠を探し出したり情報収集する自信がない場合は、それが用意されている研修制度を活用するのが1番確実ですし、オススメもいたします。
そもそも研修生の受け入れ先(農業学校や熟練農家)は、研修生を育てるつもりで受け入れるわけですので〜
実際僕が研修を受けた農家さんは、1つ1つの作業の意味や こちらの質問に関して とても丁寧な解説をしてくださいましたし、修了後もアドバイスをいただける関係が続いています*
理由2:金銭的な話
つづきまして金銭的な話〜
農業研修を受けて補助金だけで生活をする場合、研修期間中に貯金がどんどん削られていきます。
と言いますのも、、、
山梨県では農業研修(基本的には8時間 ✕ 週5日)を受けている間、補助金「150万円 ✕ 2年の合計300万円」を交付していただけるのですが、
補助金150万円を確定申告すると、翌年に税金という形で約30万円、国民年金で20万円を国に返還することになるので、実質100万円/年になってしまうからです★
100万円だけで生活費と農具の購入費をまかなうのは、けっこう厳しいのではないでしょうか・・・
でも、栽培技術の習得がてら農繁期に熟練農家のもとでアルバイトさせてもらったり、農閑期に一般のアルバイトをしていれば それ以上に稼ぐことは余裕でできるはずです。
(しかもアルバイトなら給与所得控除が効いて、税金も安くなるので断然割がいい)
だから最低限の機械や資材を揃えるだけの資金と、生活費1〜2年分くらいの貯金を事前に用意しておけば、1人農家として自立することは資金的には それほど難しいものではないと僕は思います。
だってね
ブドウを露地栽培する場合、すべてが成園化しても忙しいのなんて せいぜい5〜6ヶ月程度ですし、はじめのうちなんて農作業するのは日数だけで言えば1年に2〜3ヶ月しかありませんので、アルバイトする時間は充分に確保できるんですよね*
・ぷち余談
自分で言うのもなんですが、僕はお金の扱い方や税制度について そこそこ知識経験があるので、あんまり働かなくても豊かな生活を送ることができます。
そのノウハウ?の一部をブログでも紹介しているので、農業の収入だけで食べていけるか心配な人は、興味があれば読んでみてください☆
「コーヒー1日6杯で経営が成り立つ仕組み|賢く自営業・経費編」
「日本の裏話|一定ラインまで収入を減らすと逆に生活レベル上がります」
中間まとめ
長くなってきたので、ここで話を軽く整理してみますね〜
作物の有名産地であれば熟練農家や専門機関があるので、栽培技術や情報を得る機会をつくることはできる。
ただし自力で機会をつくる自信がない場合は、それらが用意されている研修制度を活用した方がよい。
また(受け入れ農家が、年間で何時間研修に参加させるかにもよるが)研修補助金よりも、アルバイトをした方が金銭的な割がよくなる場合もある。
(アルバイトの道を選択するのなら、ON OFFシーズンで忙しさの差が激しい農業に、シフトを合わせられる職場を見つける必要がある)
研修の魅力☆
この後も研修のネガティブな面を紹介していきますが、
ちょこっと息抜きで、研修を受けることのメリットも紹介してみたいと思います〜
研修制度の最大の魅力だと僕が思うのは「認定新規就農者になりやすい」ということです*
そもそも山梨県の場合は研修期間の補助金の交付条件自体に、研修修了後に認定新規就農者になることが含まれているんですよね。
(認定新規就農者にならないと、受け取った補助金300万円を返還しなければならない)
この認定新規就農者になることができれば、上限3700万円まで無利子で融資を受けることができるなど、いくつかの(かなり手厚い)支援制度に申請できるようになります(^^)
だから「高額な投資が必要になる大規模経営を目標にしている人」には、農業研修を受けることを超絶オススメしたいんです〜☆
・ぷち補足
認定新規就農者になると経営開始後に年間150万円、それが3年間にわたって交付される補助金の申請もできるようになります。
果樹の場合、樹が成熟するまでに年数がかかるため、この制度は非常にありがたいですよね☆
・ぷちぷち補足
農業研修を受けずとも認定新規就農者になれる場合もあるかもしれませんので、就農する地域の役場にてご確認ください。
新規就農者向けの支援制度をいくつか紹介してみました↓
「1125万円新規就農補助金の話|農業アルバイトをオススメしない理由」
理由3:研修中の縛り
さて、研修を受けなくてもいいと思う理由に話を戻しましょう。
お次の理由は「研修期間が長いから」です。
研修生扱いになる2年間は農業経営ができなくなってしまうんですよね★
それの何が問題なのかと言えば、たとえば僕の場合、研修1年目の時点で耕作可能な畑が見つかり、しかも そのうちのいくつかは既に樹が成熟して収穫できる状態でした。
ですが研修のルール上、それらの畑を引き継ぐことができませんでした。
(苗木の育成も含めて、研修期間中は「自分名義」で畑作してはいけないことになっている)
自身のコミュニケーション能力(人との関わり方が とても重要)や、地域住民との巡り合わせにもよるかもしれませんが、積極的に就農活動をしていれば意外と畑は見つけられると思います*
また畑作でなくても、農業経営に関わる活動(特に困るのが資金のやりくり)ができなくなります。
たとえば農業という事業を「栽培→収穫→販売」という枠を超えて展開させるには、いろいろな準備が必要になると思いますが、それも行いにくくなってしまうので注意が必要です。
理由4:制限が生じる
これが当てはまるのは一部の人に限られますが、研修を受けなくてもいいと思う最後の理由は「縛りができるから」です。
研修を受けた場合、(当然ですが)その修了後も数年間は役所に「営農」報告をする必要があります。
ですが、農業を「栽培→収穫→販売」という枠を超えて展開させることを考えているのであれば、それによって制度のルールから外れてしまわないか一度検討してみることをオススメいたします〜
農業を1つのビジネスとして考えているのであれば、「自由に動けること」も重要なポイントになってくるはずです☆★
研修なしで就農する方法
以上が「研修を受けなくても、農業を営んで暮らしていくことはできると思う理由 及び 研修を受けなくてもいいと思う理由」でした。
せっかくなので、研修を受けずに山梨県でブドウ農家になるなら、今の僕なら どうするのかも紹介しておきたいと思います〜
1:資金を400万円以上用意する
→研修を受けた僕も用意してました。
2:現地に移住してアルバイト生活をする
→農業専門の求人サイトを活用し、住み込みアルバイトをして「移住前に現地生活を疑似体験してみる」という手段もある。
お金がメチャクチャ貯まります↓
「お金が貯まる派遣・季節労働|農家住み込みバイトの収入*」
3:研修生以外の人向けの支援制度を確認する
→農業研修を受けていない人、認定新規就農者ではない人向けの制度があれば活用する。
市役所等に相談すれば案内していただけると思います。
4:農家でない人も含めて現地の知り合いを増やしまくる
→お店やマルシェ、イベント等に とにかく足を運びまくる。
5:知り合いが増えてきたら農園のアルバイト情報を探す
→農村であれば(噂は すぐに広まるので)、各農家の評判も含めて いろんなところで情報を入手できると思います。
農園アルバイトが決まったら、働きながら栽培方法を学ぶ。
同じ作物でも各農家によって栽培や経営の方法は かなり異なるので、農園をいくつか掛け持ちしてみるのもいいかもしれません。
6:畑を探す
→既に稼働している畑を引き継げればベストだけど、稼働していない畑でも条件が良ければ借りる。
果樹の場合、植え付けから収穫まで年数がかかるため、1年でも早く苗を育てはじめたいので〜
(ブドウ栽培は人氣なので稼働中の畑を見つけるのは容易ではありませんが、もしかすると その他の作物は比較的見つけやすく、急いで苗木を植える必要はないかもしれません)
現役農家から畑選びのポイントやアドバイスを聞いてから畑を借りしょう☆
7:アルバイトと自分の畑の管理の両立
8:作物の収量が増えるにつれ、アルバイトの日数を減らしていく
→青色申告控除と給与所得控除を2重取りするため、農園の利益がどんなに大きくなってもアルバイトは続ける
こんな感じかな〜
絶対に成功するという保証があるわけじゃありませんが、もしも昔の僕に、研修を受けずに農業を始めたいと相談されたら この手順をオススメします(^^)
こんな記事もございます↓
「低収入・過労から自分を守る対策|農業始める前にやるべき3つのことを紹介します」
余談:田舎暮らしってどうなの?
最後に、田舎で農業をはじめてみた感想も述べてみたいと思います〜
僕は市街地の外れにある畑ばかりの集落に住んでおりまして、歩いて行ける範囲には居酒屋も含めて余暇を楽しめるお店がありません。
なので、基本的な生活ルーティンといえば。。。
1:農繁期パターン 5〜9月(7月は あんまり作業ない)
自宅→畑仕事→スーパーで買い物→帰宅・・・の繰り返し。
2:農閑期パターン 10月〜4月
畑の整備とか樹の剪定等をちょっとやる程度で、あんまりやることがない。
そんで、
収穫が終わった直後なんかは、やっと終わったー☆と開放された氣分になって、公園でコーヒーを飲みながらボーっとしたり山を登ったりして、ゆったりとした時間を楽しんでいたのですが、
それも2週間もすれば飽きてきて、1ヶ月が経った頃にはストレスがないことに逆にストレスを感じはじめるという・・・笑
時間が欲しいと思っている人には皮肉になってしまって申し訳ないのですが、、、
1年の半分以上が自由な時間なので とてもありがたいのですけど、時間がありすぎる(暇である)こと自体が悩みになってきちゃったんですよね★
最近はボランティア活動に参加してみたりもしていますが、旅にでも出ようかな〜なんて考えたりもしながら、ぼんやりとした日々を過ごしています。
別の仕事をする等、空いた時間を有効活用できるものがあるのなら良いと思いますが、
「自然に囲まれた静かな暮らし」に憧れて田舎に移住しようと考えている独身の人は、「まわりに何もないこと」が本当に自分に合っているのか、よく考えてみることをオススメいたします。。*
まとめ
まず前提として、あくまで「有名産地であれば、研修を受けなくても就農することはできる」という話であって、研修を受けない方がいいという話ではない。
もちろん研修を受けることにメリットもあって、いろんなことをあらかじめ用意してもらえるし、認定新規就農者にもなりやすい。
認定新規就農者になれれば、いくつかの手厚い支援制度に申請することができるようになるので、特に「高額な投資が必要になる大規模経営を目標にしている人」には研修をオススメしたい。
その上で、農業研修を受けなくても就農できると僕が思ったのは
1:栽培技術
2:金銭面
3:研修期間の長さ
4:研修修了後の縛り
主に この4つの観点からである。
ただし1〜3番を自力でクリアするには、コミュニケーション力やお金の扱い方をある程度習得していないと、苦労するかもしれない。
4番に関しては、おそらく当てはまる人は少ない。
また研修を受けない( ≒ 補助金をもらわない)のであれば、最低限の機械や資材を揃えるだけの資金と、生活費1〜2年分くらいの貯金を事前に用意しておくこと。
こんなところでしょうかね〜
くり返しになりますが、研修を受けることと受けないことの どちらにも、メリットとデメリットがあると思います。
何よりもご自身の性格や計画、方針に合っていること、これが1番大切なことですから、そことよく照らし合わせて選択してくださいね☆
はい、以上〜
研修を受けなくても農業をはじめることができると僕が思う理由、でした!
最後までお読みくださり ありがとうございました(^^)
この記事が すこしでもお役に立ちましたら 嬉しいです☆