農作業をしない農家
県をまたいで農業に携わるようになってから、農作業の外注化・フリーランス化について考えるようになりました。
上手に活用できれば、規模の拡大や新たな収入源を確保できたり、あるいは自分が現場に立つことなく、農業を営むこともできるようになります。
てことで、今回は!
農作業を外注化することによる、農家側のメリットついて〜
バイトにできない作業を
僕が農業を見ていて気づいたのが
「本当は人手が欲しいけど、スキルが必要だから 単発アルバイトを募集できない(バイトに任せられない)作業もある」ということ。
たとえば剪定や摘果などは、ある程度の知識や練習が必要になってくるので
いくら時間に追われても、そこは経験のある自分(農家さん自身)、あるいは身内だけでまわすしかない・・・
閑散期があるために、通年で人を雇用できない(人を育てる時間がない)農家には、そんな状況があったりするわけです。
その状況を解消するために。。。
まずは研修制度を企画し、スキルが必要になる特定の作業「だけ」をこなせる人(フリーランサー)を育てていきます。
スキルを身につけてもらうことさえできれば、あとは毎シーズンその作業をフリーランサーへの外注で済ませられるようになりますよね(^^)☆
時間的自由を得られる☆
フリーランサーを育てるための研修に時間を取られるし、研修がうまくいっても、慣れるまでのうちは売上が下がる可能性もあるし、仕事の依頼には人件費もかかります・・・
が、
作業を外注化できるようになれば、その期間は自分の手が空きます*
今までは農業に追われて、やりたくてもできなかったことが できるようになりますし、
規模の拡大をしたり、農業から離れた新たな収入源を確保することもできるかもしれません。
追求していけば 完全なアウトソーシングで、自分が ほとんど現場に立つことなく農業を営むこともできます。
「自分の人生に自由な時間をつくるためのコスト」だと思えば、研修にかける労力も人件費も、安く感じてくるのではないでしょうか?
参考:研修にかかる時間
日本一の梅産地・和歌山県では、農作業の外注化が はじまりつつあって、
農家ではない人向けに梅樹剪定の研修を行い、研修後の検定に合格した人達に「剪定だけを委託する」という仕組みができています。
剪定研修の場合は 農家さんが1週間つきっきりで、切り方を教えてくれて
その後、1つの樹を一緒に切る、小さめの樹は研修生に任せる〜 といった流れで進めていました。
4人いた研修生は、1週間で 基本的な切り方はできるようになっていたので
割と早い段階で、研修にさいた労力を回収できることが見込まれます。
中長期で見ればメリットは非常に大きいのではないでしょうか。
研修についてはコチラ↓
「フリーランスで農業できます|生産量日本一の梅の里で新しい取り組み」
自営業者の時給を計算してみよう
ついでなので、自営業者の時給についても〜
外注した場合は 支払う労賃の分、たしかに手取り額は減ってしまいますが「自営業者自身の時給」は上がる可能性があります。
自営業者になると、自分の人件費の計算を忘れてしまいがちですが
「 全体の利益 ÷ 自分の労働時間 」で、自分自身の時給を求めることができます。
外注費が増えて利益は下がっても、自分の労働時間が減る割合の方が大きければ
自分の時給が上がるので、総合的に見れば 利益は上がっていると捉えることができます*
外注など、現金支出により得られるメリットについて書いた記事もありますので、
興味がありましたら(^^)↓
「自営業者が見落とす4大隠れコスト|例:古民家リノベーションのDIY費用」
人材は確保できるの?
しかし、そもそも「単発で農作業をするために、わざわざ地方まで出張に行く」
そんな働き方をできる人がいるのかどうかってところが、気になる点かと思いますが。。。
多くはないけれど、現時点で すでにいます。
農業に限らず、季節性アルバイトは全国に たくさんあって、
全国を回ることで それらの仕事をつなぎ、年間通して働いている「季節労働者」と呼ばれる人たちがいます。
(というか、僕も その1人でした)
けれど、そういう仕事は「簡単な作業だけど、肉体的にキツくて報酬も安いことが多い」んですよね。
(だから単発アルバイトを募集するわけでして)
季節労働者が1番に求めているものが「お金」ではないから、
キツくて低報酬のアルバイトでも続けているのだと、僕自身の経験上わかるのですが・・・
でも、もしも職場の雰囲気や生活空間などの環境は同じだけど
「(作業の何度は増すが)キツくなくて高報酬、または同報酬だけどキツくない」
という条件が加わってくれば、まぁそっちを選ばない理由も あまりないかなぁ、と。
(肉体的にキツイと引退年齢は若いが、キツさがないとなると引退年齢の高齢化も期待できる)
だから、この「ただのアルバイトではない、フリーランス農家としての働き方」が、いい評判とともに浸透していけば一定数の人材は確保できるはずです。
働き手(フリーランス)側にも、たくさんのメリットがありますので↓
「畑がない農業|自然派ノマドフリーランスの自由な働き方」
余談:JAの企画
外注ではないのですが。。。
北は北海道、南は沖縄まで 年間を通して働けるように、季節性 農業アルバイトを斡旋するJAの取り組みもあります。
この仕組みの良いところは、面接で一度合格できれば、JAが用意した通年のアルバイトサイクルに乗ることができること*
たとえば「秋の愛媛みかんバイト」が終わると、次のバイト面接を受けることなく
そのまま「冬の沖縄さとうきびバイト」に移ることができ、暖かくなってきたら また北の方で はじまる農業バイトに入れる〜 といった感じ。
しかも、このサイクルに続けて参加していると時給が上がったり、数万円のボーナスをもらえたりもします☆
(この仕組みが現在も稼働しているかは要確認)
それくらい農家のお手伝いをしながら、全国をまわりたい人の数は多いということですね(^^)
農家の課題
農家の立場からして、もう1つ心配なのは
「スキルを持った人を毎年必要な時に確保できるのか?」という点ですが。。。
これは「育てた新入社員が、その教育にかけたコストを上回る利益を 将来的に出してくれるのか」という
会社経営における問題に似ていて、それを解消する方法も かなり近いと思います。
じゃあ その解消方法とは何なのかと言えば
「働き手が 一生懸命働きたいと思える仕事(会社・農園)」であるように、環境を整えること
です。
そこで働きつづけるかどうかは、結局 働く本人の意欲次第であって、
作業内容もワークスタイルも、その報酬額の大小ですらも 二の次なんですよね。
だから「働きやすい環境をつくってあげること」、これは農家側の仕事でもあります*
補足:外注化って、何?
そもそも外注ってのは、なんなのかと言えば。。。
雇用契約が「自分で従業員を雇用して、指示を与えて仕事をしてもらうこと」であるのに対し、
外注は「外部の業者などに対して仕事を発注すること」。
(もう少し くわしく言うと、この記事では「業務委託」を示します)
たとえば 従業員の場合。。。
「今日は この畑で収穫作業をします。色が濃くなった果実を採ってください。お給料は1000円 × 労働時間です。」
外注の場合は。。。
「この畑の防除(農薬散布など)を依頼したいので、見積もりをお願いします。」
そして業者の見積もりを確認したら発注をかけ、仕事が始まったら農家(依頼主)側は作業に加わることはなく、指示も出しません。
作業が完了したら、業者からの請求書に記載された額を支払う。
(これは「給与」として計算されない)
こんな感じ〜
外注の場合は「薬品はコレとコレを使って、あの一角には手をつけないでください。」くらいの注文はしても、
その手順などに指示を出さず、基本的には業者(専門家)に すべておまかせします。
これが雇用契約と外注(業務委託)の、大まかな違いでございます〜
まとめ
農業を見ていて気づいたのは「本当は人手が欲しいけど、スキルが必要だから
単発アルバイトを募集できない作業があって、その作業に追われて苦労することがある」ということ。
研修を実施して、その作業だけに特化した人(フリーランサー)を育てることで、
通年雇用をしなくても単発の外注で まかせることができるようになる。
(農業の性質上、通年雇用で人を育てることが難しいため その打開策として)
農作業の外注化による1番のメリットは「時間的自由」が得られること。
研修には時間や労力等のコストがかかるが、
規模の拡大をしたり、新たな収入源を確保したりすることで、コスト以上の利益回収に期待できる。
人材を確保する方法の1つとして、「季節労働者」へのアプローチが考えられる。
(季節労働者とは、季節性アルバイトを繋いで全国をめぐりながら、年間通して働いている人)
また「スキルを持った人」を毎年必要な時期に確保する(リピーターになってもらう)ためにも、
「働き手が、一生懸命働きたいと思える農園」にしたり、「働きやすい環境をつくってあげること」が農家側の仕事になる。
雇用契約と外注には、依頼主(農家)と働き手との間に「立場」の違いなどがある。
こんなところかな。
はい、以上〜
フリーランスは なんとなくIT関係が多いと思っていたけど、意外に農業でもいけるんだなと思いましたよ日記、でした!
最後までお読みくださり ありがとうございました(^^)
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